プロペラの話
ベストマッチングなプロペラの選択方法・メンテナンス等について、ご案内します。
プロペラの話(6)
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前回まではよいプロペラをどのように選択すればよいかを説明してきました。今回からは、そのよい性能を維持するにはどうするかについてお話していきます。 船外機を使用していると岩などの障害物や木片などの浮遊物にプロペラを当ててしまうことがあります。プロペラのブレード(翼)は、このため写真のように変形を起こしてしまいます。変形した状態のまま運転すると、そのブレードはいわゆる翼の形状ではなくなってしまうので、推力を発生できなくなるか、極端に推力が低下してしまいます。写真のように変形したプロペラをテストしてみたデータでは、最高速で13%、加速は37%低下していました。それにより航走燃費率(ガソリン1L当たり何km走れるか)は16%以上悪化しています。正常なプロペラと変形したものとではこのように推力の差が大きいため、変形したプロペラを使い続けると、振動を発生し、船外機を傷めてしまうこともあります。
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また、プロペラのブレードのリーディングエッジ(前縁)が変形すると、水流が翼面から剥離してしまいます(図参照)。こうなると気圧が非常に低くなり、通常100℃で沸騰する水が常温でも沸騰し、気泡が生じてきます。この気泡が水圧がより高いところにいくと、その圧力でつぶされて凝縮して液体に戻ります。このときエネルギーを放出するのでプロペラのブレードが浸されて表面がざらざらになったり、溝が生じてきたりします。この現象をキャビテーションといいますが、この状態が続くと最後にはキャビテーション部分からプロペラの切損を引き起こし、性能が大幅に低下してしまいます。さらに問題なのは、1枚のブレード切損によってプロペラが著しくバランスを崩してしまうので、過大な振動を生じ船外機の破損につながってしまうことです。変形したプロペラはすぐに交換する必要があります。