プロペラの話
ベストマッチングなプロペラの選択方法・メンテナンス等について、ご案内します。
プロペラの話(5)
それぞれの船外機の全開推奨回転域内を守らなければならない重要性は前号で理解していただけたものと思います。全開推奨回転域内に1種類のプロペラしかない場合はそれぞれを選択しますが、図のように全開推奨回転域内に2種類のプロペラが使用できるケースがあります。Aのプロペラは全開推奨回転域の下限(ピッチ大)、Bのプロペラは全開推奨回転域の上限(ピッチ小)となっています。Aのプロペラ、Bのプロペラのメリット・デメリットは一般的に以下の傾向となりますので船外機の用途によりAかBのプロペラを選択します。 もう少し具体的に説明しますと、Aのプロペラ(ピッチ大)は長時間全開運転が多く、積載量もあまり変化しない用途に向いています。たとえば、ランナバウトやレジャー用のフィッシングボートがこれに当たるでしょう。Bのプロペラ(ピッチ小)は積荷の変化の多い用途や特に加速性を重視する用途に向いています。たとえばプロが使用する和船や水上スキー用のボートがこれに当たると思われます。もちろん積荷が少ない時、水上スキーを引いていない時に全開推奨回転域の上限付近に合わせるわけです。
実際に適正なプロペラを選択するには必ず回転計(タコメータ)が必要になります。またスピードメータを代用として、目印となる2つの地点間の所要時間を計る必要があります。この両者により使用しているプロペラが全開推奨回転域内にあるか、プロペラを変更してスピードがアップしたかを確認します。 以前説明した船外機のトリム・アングルも調整して、ベストな性能が得られるようテストします。適正なプロペラの選択はくり返しのテストによってのみ可能です。
ただし、短時間のテストだからといってプロペラナットを十分に締めずにピンに頼るのはプロペラを落としてしまう恐れがあります。必ず取扱説明書やサービスマニュアルに記載されているトルクでプロペラナットを締め付けてください。また、プロペラで手を切らないよう軟らかい木片でプロペラを押さえるか、十分にウエスをプロペラに巻くか手袋等をはめて交換してください。
性能 | Aのプロペラ (ピッチ大) |
Bのプロペラ (ピッチ小) |
---|---|---|
最高速 | 速い | 遅い |
加速 | 遅い | 速い |
燃料消費量 | 少ない | 多い |
騒音 | 低い | 高い |