船外機を正しく選ぶ・使う
船外機に関する主なトラブルと原因・使用方法・点検等・幅広くご紹介しております。
日常メンテナンス
船外機の使用前及び使用後に行う日常点検は、ユーザー自身が行うメンテナンスです。その項目を列記します。なお、ユーザー自身が行える定期点検項目もここに含めてあります。
- 燃料タンク、フィルタのごみ詰まりや水たまり/定期点検項目
- 燃料ラインからの燃料漏れ
- エンジンオイルが規定量かどうかのチェック(4サイクルエンジンの場合)
- エンジンオイルの交換(4サイクルエンジンの場合)/定期点検項目
- ギヤオイルの交換/定期点検項目
- スパークプラグの電極摩耗、汚損の度合い/定期点検項目
- ストップスイッチ及びエマージェンシストップスイッチの作動
- 電気コード類の結線部ゆるみ、被膜チューブ破損
- スロットルグリップの重さ度合い
- チョークノブ操作によるリンクやバルブ作動
- リコイルスタータロープの摩耗、損傷
- シフト操作によるスムーズ性
- ステアリング操作による重さの度合い、スムーズ性
- プロペラのブレード曲がり、欠け、摩耗
- プロペラナット用スプリットピンの有無
- アノードの腐食摩耗
- 冷却水系の水洗い
エンジンオイルの補給(4サイクルエンジンのみ)
エンジンオイルが不足していると、エンジンの回転・慴動部分の寿命を著しく縮めます。ちなみに、船外機の場合、全速走行が多く、オイル消費量は意外に多いので、オイル量点検を頻繁に行いましょう(オイル量はオイルゲージにて点検します)。
- 1. エンジンを停止し、船外機を直立にします。
- 2. アッパーモーターカバーを取り外します。
- 3. オイル注入口キャップを外します。
- 4. オイル注入口よりオイルを補給します(図16)
水洗い
海水または泥水で運転した後は、真水にて外装部及び冷却経路の塩分や泥を除去します。 特に長期保管前はこの水洗処理を必要とします。
冷却経路の水洗い方法
- 1. 船外機を取り付け台に、ほぼ垂直に取り付けます。
- 2. ニュートラルにします。
- 3. プロペラ及び関連部品を取り外します
- 4. ウォータープラグを取り外し、そこにフラッシングアタッチメントを取り付けます(図17)。
- 5. フラッシングアタッチメントに水道ホースを差し込みます。
- 6. 水道水を流します。
- 7. エンジンを始動します。
- 8. 2~3分低速運転し、エンジンを停止します。排気ガスは一酸化炭素を含み、中毒を引き起こす危険があります。換気の悪い室内等での運転はしないこと。
プロペラの交換
プロペラブレードの曲がり、欠け、摩耗は、性能の低下ばかりか、振動増大や過回転による船外機不調をも誘発します。曲がり、欠け、摩耗の認められるプロペラは交換しましょう(図18)。
- 1. エンジンを停止し、ニュートラルにします。
- 2. エマージェンシストップスイッチのロックプレートを外し、始動不能状態にします。
- 3. スプリットピンを抜き取り、ナット、ワッシャを取り外します。
- 4. プロペラを手前に引き、取り外します。
- 5. スラストホルダを取り外します。
- 6. 取り付けは取り外しの逆を行います。
プロペラは鋭利です。手袋をして注意のうえ作業します。
プロペラ組み付け時には、プロペラシャフトに指定グリスを塗布します。
アノードの交換
アノードは船外機を電蝕作用(微弱電流による金属腐蝕)から防止します。アノードは消耗品であり、新品時の寸法に対して、2/3以下程度に摩耗したら交換します(図19)。 アノードには油脂類や塗料の塗布はしません。もしも塗布した場合は効力を発揮しません。
ステアリングの重さの調整
この調整はステアリングアジャストスクリュウで行います(図20)が、通常、ステアリングを固定するまでの機能は持ち合わせていません。したがって、アジャストスクリュウを締め過ぎないようにします。
スロットルグリップの重さの調整
この調整はスロットルアジャストスクリュウにて行います(図21)
スパークプラグの交換
電極が濡れているものや汚れているものは、前述のように清掃します。しかしカーボンが硬く堆積しているものは、その除去が簡単ではないので、交換したほうがベターです。 また電極が摩耗して火花ギャップが拡くなっているものは調整するか交換します(図22)
スパークプラグの取り外し方法
- 1. エンジンを停止します。
- 2. アッパーモーターカバーを取り外します。
- 3. スパークプラグキャップをスパークプラグより外します。
- 4. プラグレンチで左回しに軽くショックを与え、スパークプラグを取り外します。
燃料フィルタの清掃
燃料フィルタは燃料タンク内とエンジンに取り付けられています。
ゴミの付着や水が溜まっていたら、清掃、もしくは交換します(図23)。
エンジン側のフィルタは使い捨てタイプを採用している船外機があります。
エンジンオイルの交換
(4サイクルエンジンのみ) エンジンオイルの汚れや水の混入は、エンジンの回転摺動部品寿命を著しく縮めます。
オイル交換方法(図24)
- 1. エンジンを停止し、船外機を直立にします。
- 2. アッパーモータカバーを取り外します。そして、エンジンが十分に冷えた後、オイル注入口キャップを外します。
- 3. オイル注入口キャップを外します。
- 4. 廃油受け皿をドレンスクリュウの下に置きます。
- 5. ドレンスクリュウを外し、オイルを拭きます。
- 6. ドレンスクリュウを締め付けます。
- 7. オイル注入口より新しいオイルをレベルゲージの上限まで注入します。
- 8. オイル注入口キャップを締め付けます。
ギヤオイルの交換(図25)
- 1. 廃油受け皿をギヤケースの下に置きます。
- 2. 上下オイルプラグを外し、完全に排油します。もしも、ドレンオイルが乳白色であったら、ギヤケース内浸水の恐れがあります。販売店やサービス店に持ち込み調査依頼します。
- 3. オイルの容器口先を下側オイルプラグ穴に差込み、上側オイルプラグ穴よりあふれるまで絞るようにして注油しますオイルはして指定品を使用します。
- 4. 上側オイルプラグを締め付けてから下側オイルプラグを締め付けます。
荒天に見舞われたら、まわりに船がいなかったら、陸上への連絡手段を持っていなかったら、風や潮に流されたら…海の上のエンジントラブルは、非常にシリアスな状況であると認識してください。ちゃんとした整備、まめな点検、正しいハンドリングがあれば、トラブルを避けることができますし、船外機の寿命も延びます。これを機会に、ご自身のエンジンへの接し方を見直してください。