今回は読者の方が機関員(消防ポンプを操作する人)になった場合、どのようにポンプの圧力を設定すればよいか、についてお話しましょう。
水1cm3=1cc=1g簡単に考えると スゴロクで使うサイコロぐらいの水の量は1円玉と同じ重量、つまり1gなのです。
放水を行う条件は、場所、水利の状況により様々であり、機関員はその状況にあったポンプ操作をしなければなりません。ポンプから水を筒先に送るまでに、圧力損失(高さ損失、ホース圧損失)が発生します。したがって実際の消火活動では、図のように3つの圧力を考慮し、ポンプを運転することになります。
放水するには、水圧がないとノズルから水は出ません。しかし圧力が高すぎても危険です。 それはノズルから水が出る時図のような反動力、つまり筒先を持っている人が 水の出る方向と反対側に押し戻される力が発生します。 1人の場合は約18kgが消火活動時筒先を長時間安全に保てる限度とされています。
一般的には、21型の噴霧ノズルを使用していますので、これをストレートの状態で使用すると、 筒先の圧力は約3kg/cm2前後(0.3MPa)がよいと思われます。 私も放水を行ったことがありますが、0.3MPaを越えると管鎗を左右に振られ、自分の目標とする部分に 水を放水することがむずかしくなります。
先ほど圧力の基礎知識でお話しした通り、ポンプから筒先までの垂直の高さ10mで、圧力は1kg/cm2下がります。100mの高さのビルに水を上げる場合、放水量、ホースの圧力損失を無視すると、ポンプの圧力は10kg/cm2以上必要です。ただし10kg/cm2では、100mの高さまで水が上がるだけでビルの上では放水できません。しかし70mでは、損失圧力に余裕があるため放水されます。
水がホース内を流れるときに摩耗抵抗により発生する圧力損失のことで、水の量、ホースの径により異なります。 一般的な消火活動 (21型噴霧ノズル、ノズル圧力3kg/cm2、放水量500l/min)では、65mmホース1本当たり約0.2kg/cm2損失圧力となります。 詳細は次号にて送水基準板の解説でお話しします。
機関員から筒先が見えていれば感覚的に判断できますが、水利、地形の状況で 見えない場合が多いと思います。 その場合は、ぜひこの3点を考慮し、安全で迅速な放水を行っていただきたいと思います。
製品に関するお問い合わせ
、資料請求はこちら